
 | 高校野球「裏」ビジネス (ちくま新書 711)さほどの汚さを感じない
主にボーイスリーグから高校野球にいたる、選手の仲介ビジネスに焦点をあてて、取材した書。もっと、裏のドロドロした実態を、これでもかこれでもか、と見せるのかと予想していたのですが、違いました。著者自身、そういうことはあって当たり前のこと、と考えているか、あるいは、読んだ私の方に、それもやむをえない、という考えがあるせいかもしれません。私は昔、甲子園野球というものが、神聖なアマチュアの大会であると信じていました。しかし、野球留学など、セミプロ的に行われていることを知り、見る気がしなくなりました。この本を読んで、また少し考えが変わりました。問題なのは、甲子園野球を「アマチュアの頂点」だの「さわやかな高校球児たちの祭典」だのとはやし立てていることではないでしょうか。むしろ、「プロ野球マイナーリーグ全国大会」「プロ野球高校リーグ甲子園大会」と謳えばよいのです。考えてもみてください。勉強のできる子を持つ親は、子を塾に通わせ、私立の名門高校に入れ、有名大学を目指すでしょう。特待生として入学金免除、学費免除、という特典もあるかもしれません。無利子の奨学金も借りられるでしょう。世紀の天才といわれるような子供なら、企業がスポンサーにつくかもしれません。野球だって、同じと考えたらいいのです。野球の上手な子供を持つ親は、ボーイズリーグという野球塾に、子供を通わせます。ボーイズリーグの監督が高校入学の面倒をみてくれます。学費の免除もあるでしょう。生活費を出してくれるところもあるでしょう。実際、現在プロ野球ナンバーワンの投手が、そんな道を歩きました。それは責めるべきことでしょうか。勉強にしろ、野球にしろ、自分の得意分野で、せいいっぱい人生を切り開いている、と見ることはできないでしょうか。いろいろ、考えさせられた本でした。
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